税務ブログ

2018年6月29日 金曜日

ふるさと納税の裏表

 こんにちは。ブログ初登場、税理士の茂木と申します。
 蒸し暑い季節になりましたね。この季節は、会計事務所では税理士試験受験メンバーが、勉強の追い込みをかける時期です。私も、暑さの到来とともに、直前期の苦しみもよみがえってくる辛い季節です。でも、これをクリアしたら夏休み!と、目の前にニンジンをぶら下げて、みんなで頑張りましょう!

 さて、今回は前回の続きで、「ふるさと納税」のお話です。
 前回の『ふるさと納税で得をする、損をする?』をお読みいただき、実質2,000円の負担で返礼品がもらえるところまでは、おわかり頂いたと思います。
 では、翻って、この「得した」財源はどこから来ているの?と考えてみましょう。
 
 地方自治体は、寄付をもらうと、寄付金のおおむね3割以下の返礼品を送っています。
 ということは、地方自治体は発送する経費などを勘案しても、損失は出ていないでしょう。

 納税者は、例えば、10万円の寄付をして、3万円相当の返礼品をもらい、9万8千円税金が低くなります。納税者はもちろん、損はしていません。
 
 この9万8千円は所得税と住民税の合計です。細かい計算は割愛しますが、住民税の方が割合が高いのです。住民税とは、納税者が住んでいる都道府県と市町村に納める税金です。

 つまり、もらった返礼品は、「自分の住んでいる自治体が住民税の減額、という形で負担したもの」なのです。

 まあ、でも節税なんてみんなやっているからいいじゃない、と思うのが世間一般の通常の意見です。しかし、この「なんちゃって節税」で、今大変なことになっているのです。

 新聞などでも報じられていますが、ふるさと納税により、税収が減少したランキングは、
1位 東京都世田谷区 31億 2位 東京都港区 23億  3位 東京都杉並区 14億 と言われています。(29年度単年の数字)

 税理士会では「租税教室」という子供向けの税金教室を行っています。その授業の中で「小学校を1つ作るのにいくらかかる?」と子供たちに問いかけます。
選択肢は ①1億 ②10億 ③ 100億  なのですが、答えは②の10億です。
 担当講師に聞いたところ、最近行った杉並区の小学校の先生に「うちの学校は10億以上かかってるよ。」と指摘されたそうです。

 それはさておき、税収が減った杉並区は、学校建設を1年遅らせることになるかもしれません。来年もまた1校できなかった、また来年も・・・と遅れていくと、古い学校だらけになります。
 保育園の整備に関してはもっと急を要します。
入園できない→復職できない→収入がない→納税義務がない→ふるさと納税する意義が無い→あれ?なんだかおかしいですね。
 減税と返戻品の代償は、2,000円の負担だけではなく、このような問題となって出てきているのです。

 そろそろまとめに入りましょう。
 納税者が寄附金控除を受けると、高額納税者が多い自治体では税収が減ることは、以前からわかっていたことです。東日本大震災の時にも一時的に税収が減った首都圏の自治体は、いくつもありました。もちろん、その時には誰もその仕組みに異議を唱えなかったでしょう。

 近年の「ふるさと納税」人気は、主にインターネットを中心とする「寄附金仲介業者」の存在が大きいと思います。
 今まで、怖くてネットショッピングをしたこともなかった人が、「ふるさと納税サイト」にはクレジットカード番号を入力しても平気です。それはそうです。きちんとした運営会社が寄付を仲介してくれているので、事故の心配はなさそうです。
 あれだけ、きちんとしたサイトを維持するって、どんなに経費が掛かっているんだろう、それを賄うために、どれだけ地方自治体からサイト掲載料をもらっているのだろう・・・

 あっ、また一周回っておかしな話になりそうですね。

 まとめ
「寄付金は寄付の趣旨を逸脱しない程度に、納税者が気持ちよく寄付できる程度の金額をするのが適切なのではないでしょうか。」
を今回のお話のまとめとさせていただきます。
お読みいただきありがとうございました。