税務ブログ

2019年4月11日 木曜日

クラウドファンディングの会計と税務上の取扱いについて

当事務所のホームページへのご訪問、ありがとうございます。
茂木会計事務所の園木です。確定申告の繁忙期を終えて、久しぶりのブログの更新となりました。
新年度の始まりとともに新元号も決まり、気持ちも新たに頑張っていきたいと思います。

さて、今回は最近話題になっている『クラウドファンディング』の会計処理と税務について簡単にご説明したいと思います。
『クラウドファンディング』とは
『クラウドファンディング』とは、クラウド(crowd:群衆)とファンディング(funding:資金調達)の二つの単語を掛け合わせた造語で、インターネット経由で不特定多数の人々(群衆)から資金調達を行い、新商品の開発や新事業などを達成する仕組みのことを言います。
新商品の開発などには、多額の資金が必要となるため、良いアイデアや技術があっても資金不足で目的が達成できないことがあります。『クラウドファンディング』では、インターネットを通じて、自分のプロジェクトを公開し、出資者から資金提供を受けることができるため、自己資金がなくてもプロジェクトの遂行が可能となります。
なお、多くの『クラウドファンディング』では、あらかじめ調達する資金額や期間を設定して、期限までに目標金額を達成できなかった場合は、プロジェクトが無効となる「All or Nothing」方式を採用していることが多いです。

不特定多数の人々から、資金を集めて新規事業などを行う者を資金調達者と言い、その新規事業などを行うための資金を提供する者を資金提供者と言います。

『クラウドファンディング』には資金提供者に対するリターンの形態によって、「購入型」「寄附型」「株式型」の3つに分けられます。
この3つについての会計処理と税務について説明していきます。
① 購入型
購入型では資金調達者がリターンとして、資金提供者に対して商品やサービスを提供します。資金提供者にとっては電子商取引を行っているのと同じ状況になります。
イ. 資金調達者の会計処理
購入型では商品の販売やサービスの提供などと同じ扱いになります。
よって、集まった資金は売上として、収益に計上され、プロジェクトに要した経費は費用として、その収益から控除されることになります。
ロ. 資金提供者の会計処理
個人事業主や法人が行う場合にはその商品やサービスが事業に必要であれば、必要経費に算入できます。
ただし、支出した金額に対し、リターンが少なければ次にご説明する寄付型とみなされることもあります。

② 寄付型
寄付型では資金調達者が資金提供者から寄付を受けて、プロジェクトを実施しますが、商品や金銭のリターンがないのが特徴で、資金調達者からは資金の活用状況などの報告
がなされるのが一般的です。
 また、寄付や贈与などの無償の供与は税法との絡みを考えると十分な注意が必要です。
イ. 資金調達者と資金提供者がいずれも個人の場合
個人から個人への寄付は、1暦年中110万円を超えたら贈与税が課税されます。
また、個人への寄付は寄附金控除等の税制上の優遇措置は受けられません。
 ロ.資金調達者が個人で、資金提供者が法人の場合
   資金調達者が調達した資金は一時所得となり、所得税が課されます。
   資金提供者である法人が支出した資金は、優遇措置のない一般寄附金に該当し、一定の限度額までしか損金に算入されません。
ハ.資金調達者と資金提供者がいずれも法人の場合
資金調達者が受け入れた資金は受増益として計上し、プロジェクトに費やした経費は費用として計上されます。
上記ロの法人と同様に、資金提供者は支出した資金は寄附金として取り扱われますが、必ずしも一般寄附金に該当するわけではなく、寄付の相手先によっては税制上の優遇措置が適用されるケースもあります。
ニ. 資金調達者が法人で資金提供者が個人である場合
上記ハの法人と同様に、資金調達者が受け入れた資金は受増益として計上し、プロジェクトに費やした経費は費用として計上されます。
資金提供をした個人は、原則的には支出した資金について特別に税制上の優遇措置はありませんが、寄付をした相手先の法人によっては、確定申告で所得控除か税額控除のいずれかを選んで税金を安くすることが出来る場合もあります。
③ 投資型
投資型は資金提供者に金銭的なリターンがあるもので、「貸付型」「株式型」「ファンド型」
に分けられます。
世界のクラウドファンディング市場では貸付型の占める割合が約7割とされ、市場における牽引役となっています。
イ. 資金調達者の会計処理と税務
資金調達者が資金を授受した時点で、貸付型については借入金などの科目で処理をし、株式型・ファンド型については通常の新株発行の処理と同様に資本金などの科目で処理することになるため、資金を授受した時点では課税はありません。
また、株式型の場合のリターンとしての配当金の支払いについては源泉所得税を引かなければならない点に注意が必要です。
ロ. 資金提供者の会計処理と税務
資金提供者が資金を投入した時点で、貸付型については貸付金などの科目で処理をし、株式型・ファンド型については投資科目で処理することになります。
リターンとして支払われる分配金等については、法人はどの型であっても収益に計上する処理になりますが、個人は貸付型・ファンド型の場合には雑所得として、株式型
の場合は配当所得として申告することになります。

クラウドファンディング、名称は聞いたことがあるけど、内容は良く分からないという方もいらっしゃることでしょう。
新しいサービスが提供されたら、それに付随して会計や税務も対応していかなければなりません。
今後もトレンディングな題材を積極的に取り上げていきたいと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。